中古品を買う時には注意するべし

タンス

 

これは、大学中退後に無職だった時のこと。

 

親から強制的に働きに出されたのが、叔父が経営している『リサイクルショップ』だった。

 

元々は木材を扱う仕事をしていたが、建築業界の不況で早々に閉店。

 

広い倉庫を改造して、リサイクルショップを始めた。

 

もちろん大手ではなく個人商店で、叔父の店では家具類を主に取り扱っていた。

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思い入れのあるものは・・・

元は倉庫だったこともあり、ほとんど陽の入らないところに勝手に2階を造ったので、天井は低く圧迫感もあり、なんとなく居心地が悪い職場だった。

 

ただ、仕事は簡単で、たまに値切ったりする人もいたが、そういったことは叔父や叔母を呼んで対応してもらった。

 

俺は買い取った商品の手入れをしたり、懐かしいゲーム類を見つけては”動作確認”という名目でゲームをしていたり(客がいない時は許された)、わりとマイペースで仕事ができたので向いていたと思う。

 

リサイクルショップという業種なので、やはり遺品を買い取ることもあり、中には『なんだか気持ちの悪い物』もあった。

 

例えば、こんなことがあった。

 

レジを打っている時に視界の端にお婆さんが見えて、タンスをじっと見ている様子から「トラックで運びますよ」と、そういった説明をしにいった方がいいのだろうか?と思っても、レジを打ち終わってそちらを向くと誰もいなかったり・・・。

 

通路にも誰もいないし、店内を見回してもそんなお婆さんなんていなくて、「あれ?」と思ってまたレジを打ち始めると、視界の端にお婆さんが再び見えたり。

 

よく分からないし、害もないのだが、そのタンスの前にだけ、そしてこっそりとだけ現れるお婆さんらしい。

 

ちなみにそのタンスは、売主が「やっぱり祖母が大事にしていた物なので買い戻したい」と言って買い戻された。

 

こういった返品は時々あった。

 

他にも、何度閉めても3段目の小さい引き出しの左側だけ開くタンス、などもあった。

 

機能的には問題ないし、なぜ開くのかも分からない。

 

しかし、そのタンスの前に立ってじっと見ていると開かずに、「問題ないじゃん」と思って後ろを向いてから振り返るとまた開いていたり。

 

そこに何か大切な物でも隠してあったのか?

 

それとも見つけて欲しい物でもあるのか?

 

こういった怪奇な現象は正直よく分からない。

 

ただ、家具というものはそれなりに思い入れがあるのか、そういうことがよく起きていた。

 

なので、「もし中古品を買う時には注意するべし」とだけ。

 

(終)

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