楽しんでね

小学校に入る前の娘と

遊園地に行った。

 

娘は俺の言うことを

ちゃんと聞いてくれる、

 

とても良い子だ。

 

入り口には看板が貼ってあって、

 

「楽しんでね」

 

と書かれていた。

 

まだ字が読めるようになった

ばかりの娘が、

 

まじまじとその看板を見ていて

微笑ましかった。

 

ジェットコースターや観覧車、

コーヒーカップと、

 

色んな乗り物に乗ったが、

 

どうしてか、娘はそわそわして

楽しんでいる様子がない。

 

そこで俺は、

 

「せっかく遊園地に来たんだから、

 

入り口に書いてあるように

しないとダメだぞ」

 

と言うと、

やたら暗い顔になる。

 

まだ遊園地は早かったのかも

知れない・・・。

 

仕方ないから帰ることにした。

 

そして娘はその日に自殺した。

 

俺は今でも自分を許せない。

 

(終)

解説

「楽しんでね」

「(?)しんでね」

 

字が読めるようになった

ばかりなので、

 

娘は「楽」という漢字が

読めなかった。

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