後悔の念と纏わり憑く生霊 2/2

後悔する男

 

俺は彼女(17の頃)が子供をおろしてから、

彼女が退院しないうちに別れた。

 

元々、大して好きではなかったのと、

やはり妊娠騒動でうんざりしたことがあり、

 

さらに、

 

その頃に俺と付き合いたいという

可愛い女がいた為だ。

 

(こうやって改めて言うと、

本当に自分が嫌になるが・・・)

 

その後、

 

共通の友達もいなかった彼女の噂を

聞くことはなかったのだが、

 

なんと彼女はその堕胎が原因で、

 

一ヶ月後くらいに亡くなってしまって

いたと言うのだ。

 

にわかには信じ難かった。

 

やはり連絡しないといけないと思い、

連絡先を訊く事にした。

 

俺は昔の知り合いに訊いた

連絡先に電話を入れ、

 

彼女の両親と会うことになった。

 

両親から聞いた話は、

 

電話で知り合いに訊いた話

そのままだった。

 

俺はなんてことを・・・

 

俺は両親の前で土下座して謝った。

 

父親はなにも言わなかったが、

母親が口を開き、こう言った。

 

「謝ってもらっても、

娘は帰って来ないのよ。

 

それに、法律的には

あなたに罪は無いしね」

 

「でも・・・

そういう問題じゃありません」

 

と俺が言うと、

 

「そうよ。

 

娘を殺したのはあなただと、

私は思っています。

 

一生、後悔して生きてね」

 

俺は血の気がひいた。

 

きっと、生霊というのは

この人なのだろう。

 

俺は呪われているんだ。

 

罵倒され、

殴られる方がずっとよかった。

 

体調不良は今でも続いている。

 

霊媒師の所には今でも行っており、

色々と相談に乗ってもらっている。

 

俺の後悔の念が消えれば、

 

向こうの両親の生霊(後悔の念)

干渉されることもない。

 

早く忘れ、前を向くことだ、

と言われている。

 

そのための禅寺にも通って、

禅を組んだりしている。

 

でも忘れるってどういうことなんだろうか。

 

「子供おろしたって、

どうってことはないぜー」

 

と思っていた頃に戻ればいいんだろうか。

 

最近、俺の本棚には仏教関連の本が

いっぱい並んでいる。

 

そして最後に、

 

彼女の両親に会った後の、

霊媒師に相談した時の会話。

 

「お母さんに許してもらえれば

いいんじゃないでしょうか・・・

 

俺、毎日でも謝りに行こうと

思っているんですが」

 

「ダメです。

もうお母さんには会ってはダメ!

 

あなたに纏わり憑いていた後悔の念は、

ハッキリとあなたへの憎悪となっています。

 

ある種の呪いになろうとしている。

もう、夢も思い出せるはず」

 

そう、俺は毎晩のように見る、

 

おぼろげだが強烈な悪夢を

思い出せそうになっていた。

 

血みどろの部屋で泣き喚く中年女性。

 

多分、あの女性の顔は、

お母さんなんだろう・・・

 

(終)

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One Response to “後悔の念と纏わり憑く生霊 2/2”

  1. 匿名 より:

    まあ創作に突っ込むのもアレやが

    因果応報よ
    だから禅なんぞ組んだところで何一つ解決せん
    勿論、霊媒師なんか論外よ
    今世の業を今世で転換する法じゃないと
    本当に仏教関係の本を読み漁ってるならその事は分かりそうなものやけど

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