江戸川の土手沿いを自転車で走っていると

今から14年前、

 

僕が二十歳くらいの

時の話です。

 

当時、僕は千葉県の市川市で

一人暮らしをしていました。

 

高校時代の先輩が、

 

江戸川を挟んで隣の浦安市に

住んでいたので、

 

深夜によく、

 

愛車のママチャリで

遊びに行っていました。

 

その時の出来事です。

 

先輩の住むアパートは、

 

僕が住んでいたところから

自転車で約1時間です。

 

その時は、

 

引っ越してきたばかりで

周りに友達も少なく、

 

一番近くに住んでいる

知人という事で、

 

週末はほぼ毎週の様に

飲んでいました。

 

夏の夜の10時過ぎくらいに、

 

いつもの様に自転車を漕いで

浦安に向かっている時、

 

普段と違う道を

通ってみようと思い、

 

手前を曲がり、

 

江戸川の土手沿いを

走ってみました。

 

それが間違いの元でした・・・。

 

初めて通る土手の下を

ノリノリで自転車で走っていると、

 

ふと視線を感じました。

 

僕は自転車を停めて

辺りをキョロキョロしてみると、

 

土手の上に子供が一人で

立っています。

 

小学校低学年くらいの男の子。

半袖半ズボンです。

 

この時、僕は別に何も考えず

「なんだ子供か~」と思い、

 

そのままスルーしました。

 

「親は土手の向こうに

いるのかな?」

 

とは思いましたが、

そのまま走り出しました。

 

少し走ると、

再び視線を感じます。

 

今度は、なんとなく

嫌な気配を感じ、

 

土手の上を見上げました。

 

すると・・・

 

さっきの子供が再び、

 

僕を土手の上から

見下ろしています。

 

「なんで普通に漕いでいる

自転車と同じスピードで、

 

子供が移動してるんだ?」

 

この事に気付いた時、

 

僕は鳥肌が立ち、

嫌な汗が背中を伝いました。

 

「絶対、この世のモノじゃない!」

 

後はもう、全速力で

走り始めました。

 

「早く、横道に逸れなきゃ!」

 

そう思い、

猛ダッシュしていると、

 

やはり土手が気になり、

上を見上げました。

 

・・・なんと!

 

子供が僕の自転車の

スピードに合わせて、

 

スーっと平行移動

しているんです。

 

僕を見下ろしながら・・・。

 

さっきもかなりの勢いで

走っていましたが、

 

尋常じゃないスピードで

ママチャリを漕いで、

 

脇道に逸れました。

 

その後は特に何も

ありませんでしたが、

 

あの道はそれ以降、

通らなくなりました。

 

(終)

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


コメントを残す

CAPTCHA


スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2024年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

【特集】過去の年間ランキング

(2022年1月~12月)に投稿した話の中で、閲覧数の多かったものを厳選して『20話』ピックアップ!
【特集】2022年・怖い話ランキング20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
アクセスランキング

このページの先頭へ