怖話ノ館(こわばなのやかた)
2016-10-11 08:30 [怖 69巻]
俺が小学2年生の時の話。
ある日、
熱を出して学校を早退した。
学校と家はわりと近い。
父は仕事、母は出掛けていた為、
一人で歩いて帰って来た。
二階の部屋で寝ていると、
一階から物音が聞こえた。
母が帰って来たのかなと思って
一階に行ってみると、
なぜか隣の家のおじさんが居た。
手には包丁持っている。
昼間に家にいる俺を見て、
おじさんはビックリしていた。
「おじさんが居たこと、
内緒にしてくれるやんな?」
おじさんがそう言うと、
包丁に釘付けになっていた俺は、
怖くてうんうんと頷いた。
親に言いたかったけれど、
殺されるかも知れないと思って
結局は言えなかった。
それからは月に一回、
おじさんが沢山のお菓子を
持ってくるようになった。
笑顔で「これ、食べや~」と
渡してくるおじさん。
どうしてお菓子を持ってくるのか
分からなかったけれど、
おじさんの笑顔が怖くて、
いつも硬直して受け取っていた。
母は「この子、恥ずかしがり屋で」
と言って笑っていた。
そして先月、
おじさんが亡くなった。
やっと自由になったと思った。
先週、村の飲み会で、
おじさんの話を耳にした。
『おじさんは競馬やパチンコが
大好きな人だった』
『おじさんはアル中で、
よく色んな家の飲み時に出没していた』
『おじさんが亡くなってから、
多発していた村での窃盗事件が
ぱったりと無くなった』
等々・・・
未だにあの時のおじさんの顔と包丁が
トラウマになっている。
(終)
タグ:物音, 空き巣, 窃盗, 隣人
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