朽ちかけた祠が生き返っていく度に
これは、私の旦那の話。
旦那の仕事は現場監督で、縁あって呼ばれる地域がある。
それこそ過酷な現場が多いようだけど、必ず工事が始まるまでに家族全員で現場へ挨拶に出向く。
お酒を撒くと、安物のカップ酒なのに何故かすごい良い香りが辺りに立ち込めたり、その日は猛烈に食欲が出て大食いをしたり、色々と不思議なこともある。
それはそれで楽しいのでいいんだけど。
そんな中、工事現場近くに朽ちかけの祠(ほこら)があり、旦那はそれが気になったらしく、ちょくちょくその祠を見に行っていた。
祠はそのまま土に還りそうな勢いの荒れ方だったけど、何故か旦那は気に入ったようで、お酒や御菓子を供えたり、ぼーっとしてみたりと、息抜きに見に行っていたとか。
あまりにちょくちょく行くので、その祠がある土地を持っている人が気にしたらしく、最近では行く度に朽ちかけの木の祠が石作りに変わり、草ぼうぼうだったのが手入れされ、お供え物もされるようになったとか。
そして面白いのは、その祠が改善されて生き返っていく度に、土地の持ち主さんの家がどんどん立派になっていくのだ。
最近はその土地の持ち主さんの家に隣接して新しい家が建ち、それまではなかった賑やかな子供の声が響くようになり、その場所が華やかで栄えている感じがして非常に微笑ましいと旦那は言う。
まとめると、『土地神様を大事にすると良い事があるよ』というお話でした。
(終)