オムライスが食べられなくなった怖い理由 1/2

オムライス

 

オムライスが食べられなくなりました。

 

それには、

こんな奇妙な出来事があったからです。

 

以前に私は、

 

デパートの7階にあるオムライス専門店で

バイトをしていました。

 

基本は火曜と木曜の夕方からと、

土曜の全日。

 

たまに日曜と祝日も働いていました。

 

ドリアやサンドイッチなどもあり、

あとデザート系が充実していましたが、

 

メニューのほとんどがオムライスで、

 

ソースもトマト、クリーム、ミートなどを選べる

オムライスがメインの店でした。

 

その店には毎週木曜日の夕方6時頃になると、

必ず来店するお爺さんがいました。

 

きれいな白髪でこざっぱりした身なりの、

感じの良いお爺さんでした。

 

いつも隅の方にある、

観葉植物の傍の席に座ります。

 

ひとつ不思議だったのは、

 

お爺さんは毎回違うオムライスを

注文するのですが、

 

なぜか2種類を一人前ずつ頼むのです。

 

うちの店はハーフサイズもあり、

 

2種類のミニオムライスがセットに

なっているものも用意しています。

 

それをお勧めしたのですが、

毎回普通サイズを2種類注文し、

 

帰る時にはお皿は2つともきれいに

片付いていました。

 

「あの小柄なお爺さんが二人前?」

 

と厨房でも話題になったのですが、

 

きっと一人暮らしで次の日用にと、

タッパにでも入れて持ち帰るんだろう、

 

と結論が出て、

 

「うちの店でも持ち帰り用を始めても

いいかも知れないですね」

 

との提案まで出ていました。

 

そして木曜日。

 

夕方の6時を過ぎた頃、

お爺さんが来店しました。

 

その時は私がオーダーを取りました。

 

確か、シーフードのクリームソースと、

ベーコンとナスのトマトソースで、

 

いつも通りに一人前ずつ注文受けました。

 

私はいつ持ち帰るのか興味があって、

事あるごとにお爺さんを観察していました。

 

お爺さんのオムライスは2つとも交互に、

端からきちんと食べられていました。

 

どちらも半分程の量になっており、

 

「もしかして2つとも全部食べるのかな・・・」

 

と思って見ていたその瞬間、

私は信じられないものを見ました。

 

それまできちんとしていたお爺さんが突然、

 

左側のオムライスを手で掴むと、

傍の手提げ鞄に放り込んだのです。

 

「えっ?!」

 

思わず声が出ました。

 

観葉植物で少し隠れていたけれど、

確かに見ました。

 

お爺さんの手はクリームソースで

ベトベトになっていましたが、

 

紙ナフキンで軽く拭くと、

何事も無かったように水を飲んでいました。

 

ちょうど店が混んでしまい

仕事が忙しくなったのですが、

 

私は気になって気になって堪らず、

 

各テーブルに水を注ぎに行く時に、

お爺さんの所へもまわりました。

 

水を注ぎながらお皿を見ると、

右側のお皿もきれいになっていました。

 

「こっちも鞄に入れたのかも・・・」

 

と思い、

 

つい身を乗り出してお爺さんの鞄を

覗き込もうとしたその時、

 

お爺さんと目が合いました。

 

今までの印象を覆すような、

奇妙なくらい嫌な目つき。

 

目が合っていたのは1~2秒ほどの

短時間だったと思いますが、

 

私は硬直して身動き出来ませんでした。

 

我に返ると、

 

うろたえて他のテーブルをまわらずに、

そのまま厨房へ戻りました。

 

もうお爺さんの方を見る事が出来ず、

焦りながら仕事をしていたのですが、

 

気付くとお爺さんは支払いを済ませて

店を出て行くところでした。

 

私はあまりの衝撃で動揺して、

他の人にどう言っていいか分からず、

 

結局は誰にも話さないまま、

その日の仕事を終えました。

 

(続く)オムライスが食べられなくなった怖い理由 2/2

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