神社から釘を打つような音が

藁人形

 

これまで俺の体験した中で、

最も怖かった話を・・・

 

俺の家は神社へ繋がる道の

入り口辺りにあって、

 

その神社には樹齢300年ぐらいの

立派な御神木が生えている。

 

※御神木(ごしんぼく)

古神道における神籬(ひもろぎ)としての木や森をさし、神体のこと。 また依り代・神域・結界の意味も同時に内包する木々。(wikipediaより抜粋)

 

中学2年の頃だった。

 

夜遅くまで漫画を読んでいたら、

神社から釘を打つような音が聞こえてきた。

 

時間的には2時半ぐらいだったと思う。

 

これはあの「丑の刻参りでは?」と思い、

 

怖くなり即座に布団に飛び込んで、

その音を聞いていた。

 

20分ぐらい経った頃、

音は止んだ。

 

俺はそのあいだ中、

布団の中でガタガタと震えていた。

 

次の日の朝、

学校へ行く前に神社へ行ってみると、

 

やはりそこには御神木に打ち付けられた

藁人形があった。

 

俺は昨日あった出来事を親に報告し、

学校へ行った。

 

学校から帰って神社へ行ってみると、

藁人形は無くなっていた。

 

親か誰かが撤去したのだろうと思って、

少し安心した。

 

しかし、その日の夜、

また釘を打つ音が聞こえてきた。

 

俺は黙ってその音をずっと聞いていた。

 

次の日に俺が学校でこの事を話すと、

 

「じゃあ、今日お前んちに泊まって、

どんな奴がやってるか見てみようぜ!」

 

ということになった。

 

俺と友達二人の計三人で観察することに。

 

そしてその日の夜、

 

俺たち三人は神社の藪の中に潜み、

そいつが来るのを待った。

 

張り込み開始から30分くらい経った頃、

 

手に金槌を、

胸には藁人形を抱えた女が現れた。

 

その女は丑の刻参りで

よく言われるような格好ではなく、

 

普通の格好をしていた。

 

辺りには街灯もなく、

 

藪からの観察ということもあり

顔は良く見えなかったが、

 

なんとなく全体の雰囲気からは

不気味な様子が漂っていた。

 

女は御神木の前まで来ると、

 

金槌を振りかざし、

一心不乱に釘を打ち始めた。

 

辺りに『コーンコーン』と、

不気味な音が鳴り響く。

 

三人とも無言でその様子を眺めていたが、

 

友人の一人が耐えられなくなったのか、

帰ろうと言い始めた。

 

俺ももう限界に近かったので、

それに同意し、

 

三人ともなるべく音を立てないように

その場を離れた。

 

しかし・・・

 

俺が枝を踏んでしまい、

辺りに『パキッ』という音が響いた。

 

とっさに女の方を見てみると、

女はこちらの方を見ている。

 

俺たちはなりふり構わず

その場から全力で逃げ出し、

 

家に飛び込んだ。

 

俺の部屋の窓から、

さっきまでいた場所を見てみると、

 

女が俺の家の方を凝視していた。

 

俺たちは恐怖で一睡も出来ず、

あまり言葉も交わさないまま朝を迎えた。

 

まだ女はいるかと窓から外を見てみるが、

女の姿はもう消えていた。

 

俺は安心して、

友人たちを送るために玄関まで行くと、

 

そこには『死』と書かれた藁人形が一体、

そっと置かれていた。

 

(終)

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