写真に薄っすらと写り込むもの

フィルム 写真

 

サークルの後輩たちを集め、

ファミレスで飯を食っていた。

 

話は携帯に入っている写真のことになり、

皆で見せ合いっこをしていた。

 

すると、

 

後輩の持っている画像で

凄く綺麗な夕焼けの写真があったので、

 

携帯に送ってもらうことに。

 

彼は近所で撮ったと言っていた。

 

山の稜線の向こうに

沈んでいこうとしている夕陽。

 

確かにその山影は、

大学の近くから見えるのに似ていた。

 

メールで送ってもらったが、

 

何故か俺が貰った画像にだけ、

薄っすらと影があった。

 

山のあたりに。

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薄っすらと写る影の正体とは・・・

虚ろな目の女に見えなくもなかったが、

携帯本体のメーカーも違うし、

 

画面の大きさも違って

引き伸ばして表示したりしていたので、

 

そのせいかと思い、

大して気にはしていなかった。

 

その日は夜から、

サークルのスキー合宿だった。

 

深夜にバスでこっちを出て、

翌日の朝に向こうに着いた。

 

久しぶりのウィンタースポーツだったので、

俺はひたすら滑っていた。

 

使い捨てカメラも持っていたので、

 

白く埋まった山々や川なんかを

撮りまくっていた。

 

想い出を待受けにも、と思い、

 

携帯でも撮ったが、

これが少し変だった。

 

その日は計5枚撮ったのだが、

 

全てに人の顔に見えなくもない影が

写り込んでいた。

 

偶然かも知れないが、

さすがに気味が悪くて、

 

その日の夜の飲み会で、

この話をみんなにしてやろうと決め、

 

とりあえず宿に戻った。

 

しかし、

 

飲み会で真っ先に潰れてしまった俺は、

その話をすることをすっかり忘れていた。

 

翌日の午前中は二日酔いに苦しみ、

午後から滑りに行った。

 

まず、携帯でリフトの上からの景色を

一枚だけ撮った。

 

するとなぜか、

 

画面の3分の1くらいが

真っ白になってしまっている。

 

何度撮っても変わらない。

 

仕方ないので、

使い捨ての方でシャッターを切った。

 

その後も携帯のカメラは使えず、

 

しまいにはカメラを起動しようとすると

電源が落ちるようになってしまったので、

 

使い捨ての方だけで我慢した。

 

そしてその日の晩、

俺はようやくあの話をした。

 

その場では特に何事もなく、

翌日にバスで帰路についた。

 

帰るなり写真を現像してみると、

 

友達と二人で自分たちを写したショットの、

ちょうど俺の肩の上。

 

そこには青白い顔をした、

 

目の真っ黒な長髪の女が

薄っすらと写っていた。

 

そして写真に写るその女の顔は、

なぜか俺を見つめていた・・・

 

(終)

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