昭和初期の頃のような場所に迷い込む

昭和の町並み

 

これは、愛知県にある熱田神宮のすぐそばにある神宮前駅で、父が高校生の時に実際に体験した話。

 

その日の夕方、父は友人の家に泊まりに行こうと、車の通行量が多い道路の脇を自転車で走っていた。

 

すると、急に周りの音が遠くなり、気が付くと両側が石垣になっている坂道を自転車で下っていたそう。

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何が起こったか理解できない

父はこの出来事以外にも昔から不思議な体験をしているので、その時も「何なんだろう?」としか思わず、そのままその坂道を下り終え、辺りを自転車で散策した。

 

しかしこの時、父はなんとなく『地面に足を付けたらいけない』という気がしたので、一度も自転車からは降りなかったと言う。

 

そして、少し先に進むと商店街のような所に行き着いたが、その商店街には人が一人もおらず、なぜか雰囲気がまるで昭和初期の頃のような感じだったそう。

 

しばらくまた散策を続けていると、瓦屋根の建物が遠目に見えた。

 

その建物に掛けられた木の板には、墨で何か書かれているようだったので近くに寄ってみると、達筆な字で『神宮前駅』と書かれていたという。

 

そこは小さな明かりが二つほど点いているだけで、父はこれを見た時に「昔の神宮前駅だ」と思ったらしい。

 

やはりここでも『地面に足を付けるといけない』気がしたので、駅の中に入って確かめる気も起きず、とりあえず熱田神宮に向かう。

 

町並みも道も昔のようで、なんとなく「こっちにあるかな?」という勘だけで自転車を走らせていると、急に光が辺りを覆い、気付くと元いた道に戻っていた。

 

そんな不思議な空間に迷い込んだ時間は体感で30分ほどだったそうだが、実際は2時間ほど経っていて、友人に心配されたと言っていた。

 

そして父は未だに、「この体験だけは何が起こったか理解できない」と疑問に思っている。

 

(終)

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