天国行きのエレベーター
東京近郊のとある駅には、
気味の悪い噂があるんだそうです。
正確に言うと、
駅のエレベーターに。
目立たない死角にある、
そのエレベーターに乗ろうと
ボタンを押す。
すると、
ガラス張りの窓が付いているから、
箱が降りてくる様子がよく見える。
まず目に入るのは
暗い縦穴であり、
音もなく降りてくる
ケーブルの一部だ。
その一瞬だけ見えるケーブルに、
なにやら黒いものが乗っている
というのである。
人影が、だらりと、
ぶら下がっていることもあるという。
この噂のエレベーターは、
それとすぐ分かるのだそうだ。
いつ誰が書いたのか
知らないけれど、
コンコースの方にもホームの方にも
落書きがある。
一方のボタンの字が
刃物のようなもので刻み消されていて、
代わりに、「天国行き」と
記されているそうだ・・・。
(終)
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