現地で釣りの準備をしていると

昨年の秋頃、

 

暇だったので札幌の某川上流にある

小さなダムに釣りに行った時の事。

 

住宅地からさほど離れていない

場所にあるので、

 

休日には親子連れなんかも来る、

のんびりした所なんだけど･･･。

 

その日は平日だったので、

居たのは俺一人。

 

天気も良く、

 

ニコニコしながら折り畳み椅子とか

展開していたら、

 

淵の方から魚の跳ねる音。

 

今日は元気いいな～釣れるかな～

とか思って準備を続けてたんだけど、

 

何回か聞いてると、

どうも音が変。

 

普通、魚なら

 

「バシャン」とか、

「チャポン」とか、

 

水面を叩く音がするもの。

 

だけど、

聞こえてくるのは

 

「トプン、トプン」

 

と、何かが規則的に

浮き沈みしてるような音。

 

なんだろう？

ブイでも浮いてるのか？

 

と思って、

音の方に目をやると･･･

 

頭！？

 

黒い髪がべったり貼り付いた頭が、

淵の中でゆっくり浮き沈みしてるんです。

 

昼間っから。

 

クラゲみたいに、

水面に長い髪が広がっていて。

 

これは、とにかくマズイ！

と思って、

 

急いで荷物を抱えて

逃げようとした背後から、

 

トプン、トプン、トプン、トプン、

トプン、トプン、トプン、トプン･･･

 

思わず振り返って

見てしまったものは、

 

水面に浮いては沈む、

無数の頭。

 

腰を抜かして国道まで逃げて、

停めていた車の所まで来たんだけど･･･。

 

閉鎖空間に入るのが怖くて、

 

車の周りを小一時間ほど、

ぐるぐる回ってました。

 

特に因縁話とかは

無い場所だったので、

 

かなりショックだった。

 

真昼間だったのも

かなりショックで、

 

しばらく一人で行動するのが

嫌だった。

 

その後、特に祟られたりは

していないけれど、

 

もう一度確認に行く、

気も全く無い。

 

（終）