旧友5人が偶然に集まった時に
僕が学生の頃、
あれは確か、
昭和63年12月の出来事でした。
大学3年の時であった。
同じ高校の友達と二人で
神戸三宮に出掛けていたら、
別の高校卒業以来の
友達と出くわした。
「おお、久々じゃないか」
となって、お茶かなんかを
飲んだ記憶がある。
その後、
三人は最後に出会った
友達の家に向かった。
夜になってこれまた、
この家に高校卒業以来の
友達が来た。
彼は、この家には
ちょくちょく来てたらしいが、
僕とは卒業以来の
出会いであった。
「いやーお前、久々じゃないか、
どうしてたんだい」
と言われて、
あれこれ盛り上がったのだが、
これからが問題であった。
僕達は高校の時、
6人で仲が良かったのだが、
この時点でそのうち4人が
偶然に集まったのだ。
「不思議だよな、
今まで音信なかったのに」
とか言ってた記憶がある。
「あと、NとWが来れば、
あのメンバーだよな」
とか話してたら、
夜更けになって
驚愕すべき事を知ったのだ。
夜中4時頃に突然、
Nが青ざめて車でやって来た。
そして僕達を見るなり、
彼も卒業以来なのに
それどころじゃないらしく、
「Wが昨日自殺していた」
と、Wの家から
連絡があったと語った。
もはや疑い様がなかったのである。
卒業以来、6人が集まる事など
なかったにも関らず、
この日に次々と5人までが出会って、
最後に彼の死を知ったのだ。
きっと、彼が近くにいたのだと
今でも思う。
この出来事の後、
彼らとはこの10年
さっぱり連絡を取っていない。
亡くなった友達が
メンバーを集めてくれた、
としか思えない。
(終)