ドッペルゲンガーを見たら

俺は今、

不思議な体験をしている。

 

目の前には、

 

真っ黒で俺と形がそっくりな

生き物(?)がいる。

 

俺が右手でパンを食べると、

 

そいつは左手でパンを食べて

いるような仕草をする。

 

俺が立ち上がると、

そいつも立ち上がり、

 

俺が右足を踏み出すと、

そいつは左足を踏み出す。

 

俺は友人から聞いた話を

思い出した。

 

「なぁ・・・、

 

ドッペルゲンガーって

知ってるか?」

 

「あぁ、知ってるけど・・・」

 

「昨日、暇だったから

ネットサーフィンしてたんだけどさ・・・」

 

「お前、暇だな(笑)

 

「うるさいな。(笑)

 

でさ、ドッペルゲンガーについて

書かれたページに行き着いてさ、

 

ドッペルゲンガーを見たら死ぬとか

そういうことが書かれてるかと思ったら、

 

意外と違ったんだ」

 

「へぇ、どんなことが

書いてあったんだ?」

 

「そのページによると、

 

ドッペルゲンガーはまるで

鏡に映したみたいに、

 

自分と同じ動きをするんだと」

 

「右手を上げたら左手を上げる

みたいな感じか?」

 

「まぁ、そんな感じだろうな。

 

でさ、しばらくそうしている

みたいなんだが、

 

自分と全く同じ動きをする時が

あるらしいんだ」

 

「その動きに1分間

気づかないでいると・・・

 

死ぬらしいんだ」

 

「死ぬ・・・か。

そいつに殺されるのか?」

 

「そこらへんはよく

分からないんだが、

 

他の人からは自殺してるように

見えるらしい」

 

俺は、その時はあまり

信じていなかったが、

 

今の光景を見ていると、

 

本当かも知れないと

思わずにはいられなかった。

 

「それにしても不思議だな・・・」

 

依然としてそいつは

俺の真似をしている。

 

「・・・!しまった!

電車に乗り遅れる!!」

 

急いで支度をして家を出た。

 

いつものように出る時に

母が見送ってくれたが、

 

そいつに対して

無反応なところを見ると、

 

どうやら他の人には

見えないらしい。

 

「なんとか間に合ったか・・・」

 

駅の時計を見ると、

 

あと1分程で電車が

来るところだった。

 

そいつは所持品とかも

俺と一緒のようで、

 

改札を通った時にはちゃんと

定期券を使って通ってきた。

 

(大笑)

 

みんなが驚いている様子を

見ながらも、

 

急いでホームに向かった。

 

「こいつ・・・

 

いつまで付いて

来るんだろうか・・・」

 

そう考えているうちに、

電車のブレーキ音が聞こえた。

 

「まぁいいか、

学校で考えよう」

 

(終)

解説

改札は右側にあるので、

 

「俺」と逆の向きでは

改札を通れず、

 

同じ動きをしたことになる。

 

また、

「みんなが驚いている」から、

 

「そいつ」がちゃんと定期券を

使ったことが分かる。

 

あと1分程で電車が来るので、

 

「俺」は電車にはねられて

死んだことが推測出来る。

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