帰宅した少年が違和感に気付いた時

台所

 

少年が小学校から帰宅。

 

「ただいま~」

 

少年はランドセルを

自室に置くと、

 

リビングへ直行した。

 

台所ではトントントンと、

包丁を叩く音が響いていた。

 

少年は16時~19時まで、

ビデオゲームをしていた。

 

覚えている限り、

少年は二度トイレへ行き、

 

ゲームの攻略法を聞きに、

 

台所前の廊下(玄関から続く)にある

電話の子機を取りに、

 

リビングを離れた。

 

ちなみに、

 

ゲームをしていた時刻は

概算ではあるが、

 

少年はほぼ間違いないと

言っている。

 

「お母さん、

今日の夕飯なに?」

 

少年はテレビに目を向けたまま、

母親に尋ねた。

 

母親は晩ご飯の支度を

しているのか、

 

返事もせず黙々と包丁で

叩き続けていた。

 

少年は、

 

母親はあまり機嫌が

良くないと思い、

 

無視されても気にしなかった。

 

ゲームに飽きた少年は、

テレビ番組を見つつ、

 

19時35分頃に風呂に

入ろうとした。

 

風呂釜には水も張っておらず、

 

文句を言おうとしたが、

止めたという。

 

風呂が沸き、

テレビを見るのを止め、

 

ちょうど20時頃に少年は

風呂に入った。

 

風呂場で遊びながら、

少年は空腹を感じたという。

 

風呂からあがって、

 

上半身裸のまま、

少年は台所へ向かう。

 

「お母さん、晩ご飯まだ?」

 

少年はその時に初めて、

違和感に気付いたという。

 

「・・・おばさん、誰?」

 

警官が近隣住民からの

通報で駆けつけた時、

 

少年と女性は向き合っていた。

 

女性は目を見開き、

 

口をいっぱいに開いて

痙攣しながら笑っていた。

 

その間も、

手は包丁を叩き続け、

 

キャベツは二つに

割れていたままだった。

 

(終)

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