タクシーに乗せた老婆
友達の友達のお父さんのお話です。
ある夏のこと、
タクシー運転手のお父さんは、
着物を着た老婆を乗せて、
葬儀場まで向かっていたそうです。
その老婆は乗ってからずっとうつむいたまま、
一言も喋ろうとしませんでした。
「きっと、身内の方が亡くなられたんだろうな・・・」
とお父さんは考えていました。
目的地の葬儀場の前に着くとタクシーを停め
「失礼ですが、身内の方の・・・?」
とお父さんは初めて老婆に質問しました。
すると、うつむいたままの老婆は、にやっと口元を歪め、
葬儀場の中を人差し指で指したそうです。
お父さんは理解出来ずタクシーを降り、
とりあえず確認だけしようと思い、
「少し待っていて下さい」と老婆に声を掛け、
葬儀場の中に入ると、そこにはその老婆の
遺影が飾られてたそうです・・・。
(終)
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