エンジェル様が答えかけた三文字

 

私が高校三年生の頃、

 

こっくりさんやエンジェル様などが

流行りました。

 

でもみんな怖がりや、

そんなの馬鹿らしという人ばかりで、

 

うちの高校ではあまりやる人は

いませんでした。

 

しかし私は怖いのが大好きで、

好奇心には勝てませんでした。

 

他にそういう子が友達に一人いて、

仮にA子とします。

 

二人とも興味があるということで、

放課後にエンジェル様をやることにしました。

 

（なんだかこっくりさんは怖かったので･･･）

 

放課後の誰もいない教室に、

 

机を一つと椅子を向かい合わせで用意し、

座りました。

 

詳しく知っていたのはA子なので、

 

紙の書き方やエンジェル様の呼び方など

色々と教えてもらい、

 

いよいよ始まりました。

 

エンジェル様は10円玉ではなく、

鉛筆を使います。

 

そして降りてくると、

鉛筆が動いて質問に答えてくれます。

 

答えが『あ』だったら、

 

鉛筆で『あ』の周りをクルリと

円を描きます。

 

スルスルと動き、

質問に答えてくれるエンジェル様に、

 

私たちは嵌りました。

 

連日でエンジェル様をやって、

3日目の日。

 

あまりにもスルスルと動く鉛筆に、

 

もしかしたらA子が動かしているんじゃ？

という疑惑をもちました。

 

もちろん、

私は動かしていなかったので。

 

しかし、

そうではなかったのです･･･

 

その3日目の日。

 

どちらからともなく、

 

『私のことを好きな人はいますか？』

 

という質問をしました。

 

鉛筆はスルスルと動き、

円を描きます。

 

まずは私からでした。

 

「キャー！うそー？！」

 

などと言いながら、

二人ではしゃいでいました。

 

同じ質問で、

 

『A子を好きな人は誰ですか？』

 

まずは一人目の名前を、

スルスルと動き、円を描きます。

 

次いで二人目の名前も、

スルスルと動き、円を描きます。

 

そして三人目の名前を、

スルスルと動き、

 

円を1つ2つと描きました。

 

そして3つ目の円を描こうとした時、

A子は真っ青な顔になり、

 

「お戻りください！お戻りください！！」

 

と言いました。

 

私は訳がわからず『･･･？』でしたが、

 

無事にエンジェル様が帰ってくれて

二人で学校を出ると、

 

「なんで、いきなり終わっちゃったの？」

 

と、私が訊いたらA子は暗い顔で、

 

「1つ目の文字が『し』、

2つ目の文字が『に』だったでしょ？

 

次の鉛筆は『ん』に向かってた･･･」

 

と言いました。

 

私は全身に鳥肌が立ちました。

 

鉛筆を動かしていたのは

A子じゃなかったんだ･･･

 

そして最後の三文字･･･

 

『しに･･･（ん）』

 

それ以来、

 

私たちはエンジェル様をすることは、

一度もありませんでした。

 

（終）