とある喫茶店の不思議な女店主

喫茶店

 

これは、今から10年くらい前の話です。

 

私はよくパチスロをやっていて、当時は色々あって勝てる時代だったので、パチスロで勝ってはしょっちゅう知人と喫茶店へ行き、深夜まで話をするということがありました。

 

その店の『みそかつ定食』が大好きで、よく食べていました。

 

ある日その店に行くと、店主が「前々から言おうとは思ってたんだけどね~・・・」と、意味深な感じで声をかけてこられました。

 

これは余談ですが、そこは女性一人でやっていた喫茶店で、その後その場所は歯医者になっています。

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塩を持って歩きなさい

この店には2年程前から常連のように食べに行っていたので、店主とは色んな話をしていましたが・・・。

 

「あんた、塩を持って歩きなさい。それが周りのためよ」

 

意味が分からない私に店主は続けて、「あんたに悪いのがよく憑くのよ。でもそれをあんたが気が付かないから、あんたが連れ回して他人になすり憑けている」と、某鉄道ゲームのようなことを言われました。

 

そんなこともあり、当時は塩を2~3ヶ月は持っていたのですが、メンドクサクなって持たなくなりました。

 

塩を持っていた時は店主に、「ほらね。持っていた方が良いでしょ?」と、私が持っていると言っていないのにも関わらず言われていましたが、私自身はよく分からず「そうですね・・・」という感じでした。

 

それから暫くしてその店がなくなり、歯医者に変わってから1年くらいが経った夏頃、同級生の友人と川へ泳ぎに行こうということになりました。

 

今はトンネルが通っている道の脇になるでしょうか。

 

1~2メートル程の滝がある川があり、写真をデジカメで撮っては冷たい川で遊んでいました。

 

その帰り、飲み物を買おうと商店に立ち寄ると、件の喫茶店の店主とばったり会いました。

 

「あんた、久しぶりね~。なんで塩を持ってないの?」

 

いきなり言われました。

 

あたふたしている私に、「はぁ・・・どこ行って来たの?そんないっぱい・・・」と続ける店主。

 

そして、「あんた友達と一緒ね?」と聞かれたので、「はい。川で遊んで来ました」と言うと、「ちょっと待ってなさい」と言って店主は商店に入って行き、私に塩を買って来てくれました。

 

「まぁ、清め塩がいいんだけど、別に食用で問題ないから。あんたにあげるから。今度から絶対に持って歩きなさい」と言われ、私はハニカミながら「すいません」と言ったのを覚えています。

 

店主との別れ際、「あんたとはもう会わないから元気で頑張るのよ」と言われました。

 

その言葉に何の疑問も抱かず、「もう喫茶店しないんですか?」と私が聞くと、「病気でね。手があまり動かないからね」と手で仕草をして、笑顔で手を振ってくれました。

 

家に帰った私は、早速デジカメのデータをPCに移し、傍にいた友人と画像のチェックをしました。

 

30枚程撮ったのですが、全ての写真に『いわくつきのようなもの』が写っていて、恐怖するよりも気持ちが悪くなり、嘔吐したのを覚えています。

 

そのデータを保存したHDDも、撮影したデジカメも1週間もせず壊れてしまい、2週間後には友人の車も事故で大破してしまいました。

 

友人は奇跡的にかすり傷ですみました。

 

ただ、友人の運転技術はさておき、今でも「お前のせいだ!」と言っています。

 

(終)

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