時が止まった体験談 1/3

昔、ウチの近所に結構有名な墓地があって・・・

 

当時俺は、よく友達と近所の大きな公園で、

自転車を使った鬼ごっこをしてたんだ。

 

ある日、リーダー格の友人Aの意見で、

公園内だけではつまらないという話しになり、

その日は墓地の方で鬼ごっこする事になった。

 

メンバーは5人、

ここでは俺、弟、A、B、Cとする。

 

出入り禁止の場所を決めてジャンケン。

鬼はB。

 

俺と弟とCは同じ方向に逃げたんだが、

Aだけが反対方向に行ってしまった。

 

弟は基本的に俺と同じ方向に逃げるんだが、

初めての場所で緊張していたというのもあり、

 

弟に「コッチに来るな」と言って、

Aの方に逃げさせた。

 

少し経って、俺とBはCに見つかり、

一旦集まろうという話になったんだが、

いつまで経っても弟とAが帰って来ない。

 

集合場所も決めてあったので、

遅いなと思いつつも、帰ってくるだろうと思い、

その日はみんな習い事やら何やらで解散。

 

たしかその日は火曜日で、

習字の日だったと思う。

 

1時間くらいして帰って来たんだが、

弟が泣いている。

 

何があったのかよく分からないが、

ちょっと経ってから、

落ち着いたところで話を聞いてみると、

どうやらAの様子がおかしいらしい。

 

弟の話を詳しく聞いたところ、

 

弟と逃げていたのだが、

弟がいると逃げるのに邪魔になり、

Aは先に行ってしまったらしい。 

 

弟も必死で追いかけたのだが、

Aを見失い、探す。

 

その場所は寺や細い路地が多く、

鬼ごっこには恰好の場所だったのだが、

 

鬼のBが探してるのが見えて、

少し路地裏に隠れたらしい。

 

すると、細い路地の奥の方に

Aの自転車が。

 

いつもAは、

「自転車を置いて他のところに隠れる」

という手を使っていたため、

 

弟もそれに感づいたらしく、

自転車のない方向に向かっていった。

 

すると、そこにAがいた。

しかし、どう見ても体勢が変だった・・・

 

立ったまま動かなかったらしい。

 

まるでAの周りだけ、

時が止まっていたように。

 

弟がいくら声をかけても動く気配すら見せず、

揺すっても動かない。

 

それで10分くらい居たのだが、

だんだん弟も怖くなってきてしまい、

その場から逃げた。

 

そして帰ろうとしたのだが、道に迷ってしまい

遅くなったらしい。

 

どう考えても変だと思い、弟と俺と母の3人で

その場所に行ってみた。

 

弟の記憶もあやふやで、

そこにたどり着いたのは家を出てから

1時間以上経ってからだと思う。

 

ほとんど断片的にしか覚えていないが、

そこは薄暗くて(夕方だから?)

子供心に不気味な場所だと感じた。

 

神社の近くだったのもあるかもしれないが・・・

 

幼い頃の俺は極度の怖がりで、

弟と一緒に母の服を掴みながら、

そこに入ってたのを覚えている。

 

その道を進んでいくと、

そこの小道を入って行った所に

Aの自転車があった。

 

そして、そことは反対側の人気が無い道に

Aはいた。

 

・・・しかし、

Aの体勢がどう見てもおかしい。

 

Aは隠れようとしていたのか、

小道に入った物陰の脇に居たのだが、

蝋人形のように固まっていた。

 

まるで、Aの周りの時計の針だけが

止まったかのように、全く動かなかった。

 

体勢として、Aは少し

前かがみになっているのだが、

 

片足だけ中途半端に上がっていて、

もう片方の足だけでバランスを取っていた。

 

それは、人間が取れるような

体勢じゃなかった。

 

分かりやすく言うと、マトリックス(映画)

特殊効果のような感じ。

 

どう見ても人間が取って居られる体勢ではなく、

明らかに奇妙な光景だった。

 

Aを見つけて、もうかれこれ10分くらい

そこにいたのだが、明らかにAは、

ふざけてやっているようには思えなかった。

 

そして、弟の話が本当なら、

もう4時間はその体勢だったと思う。

 

少しして、唐突にウチの母が、

Aの腕をぐいっと引っ張ってみた。

 

するとAが突然「ぐわっ」っと、

倒れそうになるように動き出した。

 

その瞬間、Aは訳が分からない様子で、

「なんでみんないるの?」

などと言っていた。

 

なんか多少疲れているみたいだったが、

その間の事は何も覚えていない様子で、

 

感じとしては「少しのぼせた」、

という様な状態だった気がする。

 

そういえば、途中からAの母も

合流していた。

 

たしか、ウチの母がAの家にも

電話したんだと思う。

 

その辺は詳しく覚えてないが。

 

Aがいたのは、道の真ん中に

木が生えてた所だった。 

 

今でも不思議だよ。

 

Aの話によると、みんなで鬼ごっこをしていて、

弟を振り切って一人で隠れようとしてたら、

突然母親に手を掴まれていたらしい。

 

落ち着きを取り戻したAの言い分としては、

「今隠れようとしてたのに、

もう鬼ごっこは終わってて夜」

 

・・・どう考えても不思議だった。

 

その後、何度か同じ話を聞いたのだが、

やはりその時の記憶は一切なく、

 

「気付いたらもう夜だった」、

としか言わなかった。

 

そして話は、今から一年くらい前に

さかのぼる。

 

Aは、Bと他二人とバンドを組んでいたんだが、

ある日、Aの友達のライブがあり、

 

興味のあった俺はそのライブに遊びに行き、

ついでに打ち上げに出た。

 

その日は終電で帰る予定だったのだが

Bが泥酔してしてしまい、

 

打ち上げ会場の近くにある共通の友人の家に、

置かせてもらうことになった。

 

BとDをそいつの家まで送ってたら、

乗り過ごしてしまい、やる事もないので、

二人で6駅くらい歩いて帰る事に。

 

(ライブにはA、B、D(バンドメンバー)、

俺の4人で行った)

 

それで一時間くらい歩いて来たんだが、

地元近くに来た時、あの話題になった。

 

Aも、やはりあの事が不思議だったらしく、

「自分が固まったとは思えないが、

全く記憶がない」

と言っていた。

 

それで、

「せっかくだし、そこに行って

二人で検証してみよう」

という話に。

 

(続く)時が止まった体験談 2/3へ

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