自然はただの遊び場ではない

これは、俺が子どもの頃に体験した話。
近所の川で、4人で岩から岩へ飛び移りながら遊んでいた。
そのとき、ひとりがうっかり深い場所に落ちてしまった。
しかもその川は、前日の雨で増水しており、流れがとても速くなっていた。
友達は、あっという間に流されていった。
「助けてー! 助けてー!」
水面から顔と両手だけを出して、バチャバチャともがきながら流されていく友達を、俺たちは必死で追いかけた。
でも、なんだか様子がおかしかった。
バシャバシャしている手が、明らかに“4〜5本”は見えた。
それどころか、水に沈めようとしているようにも見えた。
まるで、誰かが水中から引きずり込もうとしているみたいに…。
俺は走りながらパニックになって、隣で一緒に土手を走っていた2人の顔を見た。
2人とも、青ざめて泣いていた。
俺たち3人は、泣きわめきながら「助けて! 助けて!」と叫びつつ、ただひたすら追いかけることしかできなかった。
運よく、そのとき道路工事をしていたおっさんたちの集団に出くわした。
2〜3人がすぐに川へ飛び込んでくれて、流されていた友達を引き上げてくれた。
幸い、意識ははっきりしていたし、ケガもなかった。
救急車も呼んでくれたけど、大事には至らなかった。
その日は、おっさんたちにも親にも、こっぴどく叱られた。
翌日、学校で4人が集まったとき、俺は件の『手』の話をした。
すると、他の2人も同じものを見ていたという。
でも、流されていた本人だけは、まったく気づいていなかった。
逆に「作り話だろ!」と怒り出した。
そして、こう言った。
「それに、なんでお前ら笑ってたんだよ! 俺が必死で助けてって言ってんのに!」
その友達は、流されている間ずっと、何人もの笑い声が「アハハハ、アハハハ」と聞こえていたとか。
それ以来、俺は川が怖くて仕方ない。
(終)
AIによる概要
この話が伝えたいことは、子供の頃の何気ない遊びの中にも、命に関わるような危険が潜んでいるということ、そしてそこには人間の力では説明できないような不気味な存在や現象が関わっているかもしれない、という怖さです。
「助けを求める友達の手が異様に増えて見えた」とか、「本人には笑い声が聞こえていた」というエピソードは、ただの事故とは思えない何か、たとえば霊的な存在や得体の知れない力が、そこに介在していた可能性を示唆しています。
また、流されていた本人と、それを見ていた友達たちの体験に大きな食い違いがあることで、”見える者”と”見えない者”がいるという不気味さも浮き彫りになっています。結果として、「自然はただの遊び場ではない」という教訓と、「この世には理解できない何かが存在する」という、二重の恐怖を伝えている体験談だと言えます。
タグ:子供の頃の恐怖体験談, 川に呼ばれる, 川に潜むもの, 水辺の怪異, 笑い声の怪

































