怖話ノ館(こわばなのやかた)
2016-4-21 08:30 [怖 56巻]
これは私の身に起きた、
とても恐ろしい出来事です。
ある夜中に空腹で目が覚めた。
しばらく布団の中で、
何か食べようか、
それとも空腹を堪えて寝てしまおうか、
と逡巡していたが、
※逡巡(しゅんじゅん)
決断できないで、ぐずぐずすること。
ふと、近所からおすそ分けしてもらった餅が
冷蔵庫にしまってあることを思い出し、
起き上がって台所へ行った。
電気を点けようとしたが、
もともと切れかけていた蛍光灯は
とうとう寿命が尽きてしまったらしく、
点きそうもない。
しかし、蛍光灯の明かりは無くとも、
薄暗い小さなランプの明かりだけで
餅を切って焼くくらいなら問題なかろう、
と判断して、
冷蔵庫から餅を取り出した。
包丁で餅を切り分けようとしたが、
いつもなら簡単に切れるはずの餅が、
その時に限って切れない。
冷蔵庫にしまって置いたから、
冷えて固くなりすぎてしまったのかな・・・
と考えた私は、
手にさらに力を込めて切ろうとした。
しかし、
餅は頑なに包丁の刃を拒んだ。
イラついた私は包丁の背に手を当て、
グイグイと押すようにしたが、
餅にはキズ一つ付かなかった。
1~2分ほど餅と格闘しただろうか。
私はついに握り拳をつくり、
包丁の背にドンドンと打ちつけ始めた。
しかし、それでも餅には、
包丁の刃がめり込むことはなかった。
その刹那、
背筋に寒気のようなものを感じた私は、
薄暗い明かりの中で手元をよく見た。
私は、包丁の背を餅に当てていた・・・
(終)
タグ:刃と背を逆に, 包丁, 餅を切る
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