合格祈願

大学受験生だった頃の話。

 

同じく受験生の友人と2人で、

地元の神社へ合格祈願に行くことにした。

 

夜の10時頃、ほんの思いつきで。

かなり田舎の地元。

 

鳥居の「貫(ぬき)」の上に

石を載せると良いと聞き、

これをやってみよう思いついた。

 

普段は電車の窓から見るだけの、

長い急な石段のある神社を選んだ。

 

ここでは過去に人が足を滑らせて

転落死したことがあった。

 

本当にかなり急。

そして寂れている。

 

怖い雰囲気もいいだろうということで、

遊び半分でここに決めた。

 

ちなみに石段は使用禁止になっており、

簡易なロープが張ってある。

 

境内へ行くには別の道が作られ、

鳥居はこの石段の前に構えている。

 

貫に石を乗せるのが目的だったから、

境内には入らなかった。怖かったし。

 

自転車で行った。

到着してすぐ、願掛けゲームを開始。

 

競い合うように「乗れっ!」と言いながら、

貫に向かって拾った石をふわりと投げる。

 

石段の前には一つ外灯もあり、

この光を頼りに願掛けを楽しんでいた。

 

始めて5分くらい経ったくらいかな・・・。

 

俺「乗れ!」

友人「乗れっ!」

俺「乗れ!」

2人同時に 「乗れ!!」

俺「乗れっ!」

友人「乗れ!」

2人+? 「の・乗れ!れ!!」

 

・・・。

一瞬で凍りついた。

 

俺「・・・なに今の?マジ?」

友人「・・・いや、なんか・・おかしかった?やめろよ?

・・風もあるけどね。実際。言うぞ?誰の声?よせよ?」

 

俺「・・ダメだ。ちょっとオレ怖い。マジ?」

友人「帰ろうぜ。気のせいだろうけど、

一気に気が失せた。マジに。」

 

すぐ帰ることにした。

 

外灯の下に停めておいた自転車に

乗るとき気づいた。

 

俺の自転車のカゴに「亀」が入っている。

20センチくらいの。

 

俺はよく分からないまま亀をそっと持って逃がし、

あとは速攻、2人で自転車で逃げた。

 

関係あるかどうかわかんないけど、

受験の方はこの年、俺も友人も落ちた。

 

(終)

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