霊感のある同僚が電車で遭遇したもの

電車

 

私は飲み屋の店員をやっている。

 

私自身に霊感は無いと思うけれど、

同僚やお客さんで“見える”という人は多い。

 

特に、

同じ店で働いていた女の子が冴えていた。

 

その彼女(以下Aちゃん)から聞いた話。

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話しかけてきた女の人は実は・・・

AちゃんはJRに乗って通勤している。

 

いつものように普通電車に乗り、

隣の車両に一番近い端席に座った時のこと。

 

その時間はホステスの出勤時間で、

通勤ラッシュとは反対方面へ向かう電車。

 

ふと隣の車両に目をやると、

 

もうひとつ向こうの車両から、

女の人が移って来ていた。

 

その女の人は乗客を一人ひとり見るように

ゆっくりと歩いていて、

 

Aちゃんのいる車両へと近づいて来ていた。

 

そしてAちゃんは、

その女の人が近づくほど寒気がしていた。

 

こんなことは初めてではなかったAちゃんは、

すぐに気づく。

 

(あの女の人、霊だ!)

 

Aちゃんは関わりたくなくて、

 

女の人がこちらの車両に移ってくる前に、

寝たフリを決め込んだ。

 

・・・やがて、

女の人がこちらの車両へやって来た。

 

ゆっくりと前を通り過ぎる。

 

Aちゃんが乗っていたのは、

7両編成のちょうど真ん中あたりの車両。

 

(女の人は次の車両に行ったかな・・・)

 

それでもまだ寒気がしていたので、

念の為にAちゃんは寝たフリを続けた。

 

しばらくして、

Aちゃんの降りる駅に着いた。

 

ここらでは一番の繁華街で、

降りる人も多い。

 

ようやく寝たフリをやめて、

乗り降り口のドアへ向かった。

 

あの女の人の姿は見えなかった。

 

しかし・・・

その電車を降りようとした時、

 

『あなた、見えてるんでしょ?』

 

耳元で聞こえた。

 

(うわっ!話しかけてきた!)

 

Aちゃんは慌てて降車し、

ホームに降り立った。

 

『・・・まあいいわ。

クハ××××、また乗ってね』

 

再び耳元で囁かれ、

目の前のドアが閉まった。

 

(クハ××××は車体番号)

 

この話を聞いていた時、

まったく霊感の無いはずの私の頭の中には、

 

白いワンピースのような服を着た

髪の長い女の人が、

 

不気味にクスクスと笑っている姿が

ブワッと浮かんだ。

 

そのことをAちゃんに言ってみると、

 

A「確かにその女の人は、

 

長袖の白いワンピースを着た

髪の長い美人だった」

 

と言われた・・・

 

(後日談に続く)

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後日談

Aちゃんはお姉さんと一緒に住んでいる。

 

お姉さんはOLだから夜は家に居て、

 

Aちゃんが終電を逃した日には、

いつも車で迎えに来ていた。

 

女の霊と遭遇した数日後、

お姉さんに迎えに来てもらっていた。

 

Aちゃんはその日、

フラフラになるほど泥酔していた。

 

「もう、アンタはそんなに酔っ払って。

 

もし私が来れなくてタクシーで帰る時、

ちゃんと運転手さんに自分の家を言えるの?」

 

と、お姉さんに言われたAちゃんは、

 

A「大丈夫!

 

Aちゃんのおうちは、

神戸市××区××町3丁目クハ××××!

 

クハ××××!!

クハ××××!!

 

元気いっぱいに答えた。

 

「え?それは電車の番号でしょ」

 

そうお姉さんに言われるまで、

 

自分があの女の霊に言われた数字を

連呼していることに気づかなかったとか。

 

それに、Aちゃんは数字が苦手で、

 

市外局番の後の7~8桁の番号でさえ、

何回も見直して電話かけるような子なのに・・・

 

(終)

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