外遊びから帰ってきた飼い猫の首輪に

猫

 

中学生の頃、飼い猫のミャーを昼間は外へ自由に出していた。

 

今なら問題ありかも知れないけれど、当時はそれが当然のような感じだった。

 

そんなある日、いつものようにミャーが外遊びから帰ってきたら、首輪に何やらコヨリが結び付けられていた。

 

コヨリを開いてみると、『この猫ちゃんは毎日うちに来てくれてとても可愛いですね。お名前は何ていうのですか?』と、とても好意的な文章が書かれていた。

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ミャーは何処へ行ってしまったのか

私は冗談のつもりで、『名前はミャーです。ご迷惑をかけていませんか?』と返信を付けて外に出したら、また返事が返ってきて。

 

断続的にだけれど、なんとなく文通のようなやり取りになっていった。

 

何度かのやり取りをするうちに、こちらの居場所があちらに分かっているようだったけれど、私はミャーがどこに行っているのかを全く分からなかった。

 

なぜなら、ミャーが外に出かけるのは私が学校に登校している間で、唯一家にいる母はミャーの後を追うには少々太り過ぎで・・・。

 

もしこのままだったら微笑ましい文通で終わったかも知れない。

 

けれど、我が家は父の転勤が決まり、近いうちに引越しをすることになった。

 

そして引越しの数週間前くらいに、『今度引越します。長い間ミャーを可愛がってくれてありがとうございました』と、挨拶の手紙をミャーの首輪に付けて外に放した。

 

すると、その日からミャーは我が家に帰って来なくなった。

 

それまでは、外出をしても夜まで帰って来ないなんて一度もなかったのに・・・。

 

私たち家族は引越しをするまでの間、必死にミャーを探し続けた。

 

あちこちに張り紙もした。

 

猫の行動範囲から考えても、文通の相手は近所の家のはずだろうから張り紙も見ていると思うのに、何処からも連絡がなかった。

 

私たちのミャーは今、一体何処にいるのか。

 

引越しすると連絡をしたあの日に、偶然にも事故か何かに遭ってしまったのか。

 

それとも、私たちの引越しを知った文通相手にミャーを盗まれたのか。

 

新たな街に引越して来てからも、未だに何も分からなくて気持ちが悪い。

 

(終)

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