出来る事なら代わってあげたい

腕

 

これは、私が高校生の時にあった怖い話。

 

夢の中で、2歳の時に他界したはずの曾祖母が入院していて、それを見舞っていました。

 

私は曾祖母の顔は覚えていませんが、なぜか塩せんべいを貰った記憶だけあります。

 

夢の中の曾祖母は、逆光で顔だけは見えずに居ました。

 

息も切れ切れな曾祖母を悲しんだ私の母が、「辛いだろうに。出来る事なら代わってあげたい」と言いました。

 

その途端、私の中で優しいとしか印象にない曾祖母がムクリと起き上がり、「じゃあ代わってみる?」とポツリ。

 

私はとても恐ろしくて、飛び跳ねるように起きました。

 

春先でまだ薄ら寒かったのに、身体は汗でびっしょりでした。

 

朝、母がパジャマが変わっていた事を問いましたが、あまりに縁起が悪い話なので言えずにいました。

 

それから2ヵ月後、母は入院しました。

 

すぐさま夢の事を思い出しましたが、突然の事にそんな事を言っている暇もなく、その夢の事は忘れて、母のいない間は家事に学校にと忙しさに追われていました。

 

「○○、何か変な夢とか見た?」※○○は私の名前

 

これは、母が退院何日か後に言った言葉です。

 

私は一瞬固まって慌てて否定しましたが、たぶん母も何かを見たんだと思いました。

 

でも何を見たのか未だに怖くて聞けていません。

 

(終)

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