呪いの存在を否定できない理由 2/2

 

A「小学校の頃、

こっくりさんやったよな?

 

あの時、最後に俺、

変な質問したろ?

 

最初に死ぬのは誰だ、って。

 

そうしたら・・『は』って、

Bの名前の最初の文字指したろ?

 

あれな、

本当は名前じゃないんだ。

 

俺が口で言った質問は

フェイクみたいなもので、

 

心の中で違う質問をしてたんだ。

 

『こっくりさん、

Bを呪い殺せますか?』

 

って。

 

その返事だったんだよ、

・・・あれは。

 

『はい』

 

っていう返事だったんだ」

 

通常、こっくりさんの紙には、

 

『はい/いいえ』のような言葉も

書いておくらしいのですが、

 

私たちが使ったその紙には

書いていませんでした。

 

それというのも、

 

A君が元からその質問を

する予定だったので、

 

答えが『はい/いいえ』では

誤魔化すことが出来ないから、

 

書かないでおいたそうです。

 

小学校時代のA君は

リーダー的存在でしたが、

 

B君も負けず劣らず、

頭も良く運動神経もよく、

 

何より格好も良かったので

クラスの人気者でした。

 

A君は子供ながらに

彼を邪魔に思っており、

 

ある時、

 

A君が好きだったクラスの女の子が

B君を好きだということを知って、

 

B君を憎むようになり、

 

こっくりさんをやって脅かしてやろう、

と思ったそうです。

 

話をしているうちに、

A君は泣き始めました。

 

しかし、

B君が死んだのは事故です。

 

私はオカルト好きではあったものの、

 

人を殺せるような呪いなんて

あるわけがないと思っていました。

 

「あれは偶然が重なった事故なんだよ。

Bが死んだのはAの責任じゃないって」

 

C「そうそう。

 

第一そんな呪いなんてあったら、

 

この世の中、

もっと大変なことになってるぜ?」

 

A君は首を強く振り、

泣きながら話を続けました。

 

A「違う・・・あるんだ、

呪いはあるんだよ・・・。

 

霊も居るんだよ。

実際にそこに居るんだよ・・・。

 

ずっと居るんだよ。

何やっても離れていかないんだよ・・・」

 

そこ、と言っても、

部屋には私たち3人しか居ません。

 

しかし、話を聞いているうちに

段々と部屋の空気が重くなり、

 

肌寒いような感じがしてきました。

 

A人を呪わば穴二つって言うだろ?

 

Bを呪い殺してしまった俺が死ぬまで、

こいつはずっと離れないんだ。

 

途中で止めたからだ。

 

あれは途中で止めちゃいけないんだ。

 

そんなこと知っていたはずなのに、

怖かったから・・・

 

ほんとに怖かったから

止めてしまったんだよ」

 

A君は叫ぶように言いました。

 

更にA君は続けます。

 

A「何でもやったよ。

 

日本中を周って御祓いしたり、

御札を買ったり、お経を読んだり。

 

でもダメなんだ。

 

当たり前だよな。

 

だってもう、

Bを死なせてしまったから。

 

もう自分が死ぬまで

終わらないんだ」

 

そんなことない!

ただの思い込みだ!

 

と励ましても、

もう聞く耳も持たないようでした。

 

そしてA君は何故今日、

私たちを呼んだのかを話してくれました。

 

A「今日呼んだのは・・・

 

さっき言った通り、

もう一度こっくりさんをやるためだ。

 

だって、あの時に止めたままで

終わってるからな。

 

ちゃんと帰さないと」

 

事態が飲み込めました。

 

それなら、

 

こっくりさんをちゃんと帰せば

A君は助かるのでは?と思い、

 

C君と私は再びこっくりさんに

参加することにしました。

 

あの時の続き・・・

ということで、

 

『は』の位置に十円玉を置き、

指を上に乗せます。

 

A君がまた呪文を唱えます。

 

そして言います。

 

A「こっくりさん、

どうぞお帰りください」

 

しかし、

十円玉は動きません。

 

もう一度言います。

 

A「こっくりさん、

どうぞお帰りください」

 

動きません。

 

私たちも声を揃えて言います。

 

私・C「こっくりさん、お願いです。

どうぞお帰りください」

 

A「こっくりさん、ごめんなさい。

お願いです、どうぞおかえりください」

 

すると、十円玉がゆっくりと

動き始めました。

 

・・・鳥居ではなく、

文字の方へ。

 

『お』

 

そのまま次の文字へ。

 

『い』

 

次の文字へ。

 

『で』

 

そして鳥居に戻りました。

 

A「おいで・・・?」

 

意味が分かりませんでしたが、

C君が早く終わりにするよう言いました。

 

A「あぁ、ええと・・・こっくりさん、

ありがとうございました」

 

これでこっくりさんは終了です。

 

C「A、気分はどうだ?」

 

A「うん・・・なんか楽になった

気がするかな・・・」

 

「まだ何か見えるか?

まだ居るのか?」

 

A「居ない・・・。

さっきまで居たところには居ない。

 

何も感じないし、

もう平気なのかな・・・」

 

C君と私はホッとしました。

 

A君もやっと、ぎこちないですが

笑顔を見せてくれました。

 

その後、

3人で外で食事をし、

 

また近いうちに会おう、

と言って解散しました。

 

しかし、

 

もう二度と会うことは

出来ませんでした。

 

その次の日のニュースで、

 

A君が飛び降り自殺をしたことを

知りました。

 

前日にA君と会っていたということで、

警察が私のところに来ました。

 

現場の状況と、

遺書らしきメモ書きから、

 

自殺と断定したそうですが、

 

その内容がどうも分からない、

ということでした。

 

そこには一言だけ、

こう書かれていました。

 

『Bが呼んでるからいってくる』

 

私の話は以上です。

 

呪いというのは、

本当にあるのでしょうか。

 

私は霊を見ていませんし、

 

あのこっくりさんも、

 

A君が自分自身も知らない

潜在意識で、

 

十円玉を動かしていた

だけかも知れません。

 

しかし、

その後にB君が事故で死に、

 

それによりA君が長い間苦しみ、

最後に死んでいった、

 

というのも事実です。

 

これは呪いによるものです、

と言っても私は否定出来ません。

 

(終)

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One Response to “呪いの存在を否定できない理由 2/2”

  1. 速攻の炎術師 より:

    おいでと言ったこっくりさんがB君だたってことか

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