地図の場所

当時の私は中学生くらいだったと思う。

学校をズル休みして昼寝していたら金縛りにあった。

 

元から疲れたりするとよく金縛りになるような体質だったので、

いつものことか、と無理矢理2度寝しようとしたのだが、

その日はどうも霊障系だったようで・・・。

 

突然仰向けに寝ている額のあたりを、

グイグイと誰かが押さえつけてきた。

 

金縛りに遭いながらも目を開けると、

どうやら何かの紙片を顔に押しつけられてるらしかった。

 

いかんせん近すぎて、

ボヤけたその紙片の詳細までは見えなかったが、

手書きの地図で目的の場所に×印がついていたのがわかった。

 

そうこうしている間に寝てしまったので

結局それだけのことだった。

 

夕飯の時にその話をしたところ、

妹から意外なリアクションが返ってきた。

 

もしかしたら同じ霊に会ったかもしれないとのこと。

実はこの妹もその日ズル休みをして昼寝していたのだが(笑)、

同様に金縛りに遭い、しかも見ちゃったらしいのです。

 

ガタンゴトン…ガタンゴトンと電車の音で目を覚ますと、

目は開けられるのに金縛り状態だったそうだ。

 

「(ガタンゴトン・・・)・・・ですか?」

 

声の方を視線だけで見ると、窓の外のベランダに

片腕が無く、そこから血を流した女が立っていた。

 

薄緑色のポロシャツを着ていたのが

印象に残っていると言っていました。

 

「(ガタンゴトン・・・)・・・さん、ですか?」

 

電車の音に掻き消されているが、

「娘さんですか?」と言っているのが聞き取れた。

 

それで妹は怖さのあまり、「違います!」と心の中で答え、

そして何を思ったか次に「向こうです」と、

私(姉)の部屋の方向を目線で指した。

 

そうすると女はその方向へ、

ベランダ伝いにゆっくり歩いて行って見えなくなったとか。

 

つまり、私の所に来たのは妹のせいだったわけです・・・。

 

その話を聞き、たしかに見せられた地図には路線が

書いてあったと気づき、「これは無関係ではあるまいな」と、

いよいよ寒くなった。

 

本当なら地図の場所に行けば何か進展したのかもしれないが、

あいにくボヤけて見えなかったわけで、ここで終了。

 

腕が切れていたのだし、×印の所に腕があるのでは、とか

「娘さんですか?」の言動から父親の愛人では!?など、

今でも我が家の食卓の話題としてのぼる体験談でした。

 

(終)

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