怖話ノ館(こわばなのやかた)
2015-1-22 14:20 [心温 1巻]
これは母から聞いた話なんですが。
結婚前に勤めていた会計事務所で、
母は窓に面した机で仕事していました。
目の前を毎朝ご近所のおじいさんが通り、
お互い挨拶を交わしていました。
ある日は果物や家で採れた野菜など、
差し入れてくれる日もあったとか。
母は、そのおじいさんと
仲良しだったみたいです。
おじいさんが来る時、さくさくと
雪を踏む音が聞こえてくるので、
いつも窓を開けて
挨拶していたそうです。
でも、ある日おじいさんは
顔を出しませんでした。
家族の人に聞くと、
「山に行ったっきり帰って来ない」と。
捜索願いも出され、母も事務所の人たちも
とても心配していたそうです。
二日後の朝、いつものように
さくさくと音がするので、
おじいさんが戻って来たんだと思い、
母は窓を開けて顔を出しました。
事務所の人たちも、
窓のところに寄って来ました。
でも誰もいない。
足音は目の前で止まりました。
空耳かなと思って窓を閉めようとした時、
また足音がして、それはだんだん
遠ざかって行ったそうです。
そのあと、電話が鳴りました。
おじいさんの家族からでした。
「ついさっき、谷底で死んでいるのが
見つかった」
・・・と。
最後に会いに来てくれたんだねって
みんなで話したのよ、と言っていました。
なんだか聞いてて
ちょっと切なくなりました。
(終)
タグ:おじいさん, ご近所, 挨拶, 母, 足音
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