深夜の体育館に鳴り響いた放送

体育館

 

俺が小学5年の頃、

皆で肝試しをやろうということになった。

 

クラス内外を巻き込んで

話は段々と大きくなっていき、

 

最終的には保護者の同伴を条件に、

夜中の体育館での開催となった。

 

俺も親友3人グループとその親と共に、

夜の学校へと向った。

 

心底後悔する事になるとも知らずに・・・

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大勢が同時に経験した心霊体験とは・・・

集まった生徒や保護者は、

各々が怖い話を始めた。

 

いくつかはなかなか怖いものもあったが、

大半が元ネタがバレバレのありがちな怪談話。

 

鬼太郎妖怪レベルの話もあって、

俺たちは少々退屈していた。

 

百話目は校長先生が担当。

 

年の功だけあってか、

かなり怖い話だった。

 

だが、その詳細は覚えていない。

 

全ての話を終えた後、

 

校長先生がロウソクを吹き消した瞬間に

それは起こったからだ。

 

夜10時、

 

鳴るはずの無いチャイムが鳴り響き、

一拍置いて不気味な声が体育館に響いた。

 

「十年前、僕はこの学校へ

行きたかったのに死んだ」

 

放送はそれだけだった。

 

すぐに懐中電灯が点き、

皆は困惑した表情で顔を見合わせていた。

 

俺たちは一瞬硬直していたが、

すぐに校舎へ走った。

 

先生たちのイタズラだと思ったからだ。

 

いや、思いたかったというべきか・・・

 

俺たちは放送室と隣接する教員室に

難なく辿りついた。

 

だが、誰も居なかった。

 

誰か居た気配も無かった。

 

それから十数年後の同窓会の時、

 

俺は当時その場にいた担任の先生に

あの事件について訊いてみたが、

 

先生は「何も知らない」と答えた。

 

ただ、あの日の十年前に、

 

病気がちで学年の途中から休校して

そのまま死んだ少年がいたのは事実らしい。

 

あの当時の体育館と校舎は、

 

多少の改装を施されただけで、

今でも存在している。

 

(終)

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