「生きてるわよ!」と顔を上げると

ベンチ 公園

 

私は生まれつき肌の色がとても白い。

 

それも青白い。

 

日陰にいると真っ白に見えることもあるらしい。

 

体調が悪い時なんて土気色にすぐになる。

 

※土気色(つちけいろ)

土のような色。やつれて血の気のない顔色をいう。

 

そのくせ疲れやすい。

 

おととしの夏の盆祭り、夕涼みがてらに彼氏と出掛けた。

 

夏の夕方だったので、私は浴衣を着た。

 

浴衣といっても今時の流行のではなく、年配のおばさんが着ているような地味で白っぽいものだった。

 

人混みのせいか私はちょっと疲れたので、近くの公園で休んで彼氏にジュースを買いに行ってもらった。

 

一人になった途端、疲れからかベンチに座ってウトウトとしてしまった。

 

近くで子供たちが遊んでいるのだろうか、子供の声で「あのお姉さん生きてるかな?死んでるかな?」とクスクスと笑う声がした。

 

ちょっとムカッとした私は、「生きてるわよ!」と言って顔をあげた。

 

だけど公園には誰も居なかった。

 

そして、「キャキャキャ・・・」と楽しそうな子供たちの声だけが、私の前を移動していった。

 

(終)

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


コメントを残す

CAPTCHA


スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2024年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

【特集】過去の年間ランキング

(2022年1月~12月)に投稿した話の中で、閲覧数の多かったものを厳選して『20話』ピックアップ!
【特集】2022年・怖い話ランキング20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
アクセスランキング

このページの先頭へ