霊の存在を信じていた先輩が行方不明に

ロウソクの火

 

高校生の時の出来事です。

 

私は友人から、「怖い話が凄く上手な中学の先輩がいるから一緒に聞きに行こう」と誘われました。

 

そうして何人かで連れ立って出かけました。

 

友人の先輩は、「俺、怖い話が大好きなんだ。霊って絶対いるよな」と話術巧みに雪の闇夜の線路を歩く白い亡霊の話などを披露し、その日は皆でワーキャーと盛り上がりました。

 

その後、その先輩に会う事もなかったのですが、あの時に私を誘った友人が、「あの先輩が急に行方不明になっちゃってさあ。でも噂では原宿でバーテンしてるらしいよ」と話していました。

 

しかし私は気にも留めず、その後は高校も卒業し、その友人とも疎遠になりました。

 

それからしばらく経った頃の事です。

 

私は、ある新聞の記事に釘付けになりました。

 

『息子殺しの一家が自首。夜な夜なの亡霊に悩まされ』

 

記事では、素行の悪い息子のおかげで娘の縁談がまとまらず、一家でその息子を殺して床下に埋めたが、その息子が毎晩一家の枕元に現れノイローゼになり自首してきた、という内容でした。

 

そして殺された息子さんの名前が、まぎれもなく”あの先輩”でした。

 

東京都足立区で本当にあった怖い話です。

 

(終)

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